物事に対する捉え方や対処パターンは人それぞれ異なっています。こうした好き嫌いなど自分の中での価値付けや、どんな選択や決断をする傾向があるかなど対処パターンにおける個性を「性格」と言います。
「性格は変わらない」とよく言われます。確かに、頭部外傷など脳が直接損傷を受けた場合を除くと、突然別人のように性格が変わることはありません。しかし精神科臨床に携わっていると、性格が固定されたものではなく、常に変化しているものであることに気付かされます。
一見固定されているように見えても、性格は均衡を保った状態で微調整を常に繰返しています。
価値付けや対処行動は、周囲との間で絶えず繰返され、周囲の反応からそれが適切であるか否かを知りフィードバックすることでより現状にあった形に最適化されていきます。
こうした自分の中での価値付けや対処パターンに意識的に注目していく治療技法の一つに認知行動療法があります。自分の物事の捉え方や対処パターンの偏った部分を意識化し矯正を加えていく実践的な技法です。
しかし、本来こうした反応は意識化された”こころ”の一部分で行われるものではなく、無意識を含めた”こころ”全体で瞬間的になされています。
同じ事柄でも別の視点に触れることでそれまで気付かなかった新しい価値に気付けるようになります。新しい対処方法が身につくことで選択や決断の幅が広がります。
新しい捉え方や対処パターンが加わることで、全体として新たなバランスができあがり、”こころ”はよりしなやかに豊かに成長していきます。
力動精神療法は、無意識も含めた”こころ”全体をダイナミックに捉え、”こころ”のこれまでとこれからを見据えて、今起こっている出来事に共に取り組んでいく営みです。
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